インプラント治療とは、虫歯や歯周病の進行、打撲などの外傷のほか、先天的な原因などにより歯を失った場合に、歯が抜け落ちたところの歯槽骨にインプラントと呼ばれるチタン製の歯根に人工の歯を埋め込む治療法です。
インプラント治療は、なくなった歯が一本の場合から、すべてなくなった場合まで有効です。
インプラントのメリット
インプラントに使われるチタンは、アレルギーも少なく、かみ合わせに耐えられる強度があります。チタンと骨が結合するのでしっかりと固定することができ、治療後は違和感がないため、天然の歯と変わらないかみ合わせを実現できます。
また、残っている他の歯を削ったり、装置をつけたりすることもありません。他の歯に負担をかけずに治療ができるのです。
違和感がない
インプラントは入れ歯のような異物感が無く、取り外す必要もありませんので、自分の歯と同じように自然に噛むことができます。
自然の歯と変わらない噛み心地
入れ歯はお口の中でも痛みを感じやすい歯茎が噛む力を支えているため、自然の歯の20%~30%の力でしか噛めません。しっかりと調整できていないと違和感が強いケースもあります。直接骨に固定するインプラントなら、自然の歯と同じ力で、しっかり、違和感なく噛むことができます。
周りの歯にやさしい
部分入れ歯等は、しっかりと固定するために隣の健康な歯にバネをかけて使用します。そのため、周りの健康な歯に負担が掛かったり、バネの部分にプラーク(歯垢)が溜まりやすくトラブルの原因になったりします。
インプラント治療は、入れ歯やブリッジ治療のように、周りの歯に負担を掛けることがないので、隣の歯を守ることにも繋がります。
インプラント治療の注意点
インプラント治療は外科手術であるため、治療を受けるには全身の健康状態が良好である必要があります。また、治療期間は長く、保険適用外のため治療費は高額になりがちです。
治療の条件は、治療予定の場所に骨がしっかりとあることです。骨が足りないとインプラントを埋め込むことができないためです。骨が足りない場合は、骨移植手術を受ける必要があります。
治療後についても、毎日のケアが不十分であったり、定期的なメンテナンスを受けていないことで、インプラント周囲炎になる恐れがあります。インプラント周囲炎は、自然に治ることはないため、歯科医院で適切な処置を受けることが必要です。炎症が進行している場合は、インプラントを摘出する必要があったり、インプラントが突然抜け落ちてしまうことがあります。
インプラント治療によってこれらのような問題が起きないよう、正確な診断と定期的なメンテナンスが必要です。
インプラント症例紹介
インプラント治療におけるリスクや副作用の詳細説明については、本ページ下部をご参照ください。
前歯部欠損症例
前歯は見た目が重要です。
前歯によってお顔の印象がまったく違ってきます。
前歯をインプラント治療で綺麗に仕上げるためには、以下のような事が重要です。
- 正しい位置にインプラントを埋入する
- インプラント周囲の歯肉を整える
- 色、形が周囲の歯と調和した人工歯をつくる
CASE01/60代女性
左上前歯にお痛みがあり、土台を外したところ、破折により抜歯となった方です。
骨が薄かったため、抜歯と同時にインプラントを行う【抜歯即時インプラント】を行いました。インプラント治療により歯があったときと変わらない状態に回復しました
CASE02/30代女性
転んで前歯を失った方です。下の前歯もガタガタが気になるとのことで、矯正治療と並行してインプラント治療を行いました。治療後3年間経過していますが、ほとんど骨吸収なく順調な経過をたどっています。
臼歯部欠損症例
臼歯はとても大きな力がかかる部分なので正しい位置にインプラントを埋入することが重要です。
また、インプラント周囲の歯肉をコントロールすることにより食べ物がつまりにくい仕上がりになります。
CASE01/50代男性
下顎臼歯3歯欠損をインプラントで修復しました。デジタル機器を使いコンピュータで理想的な歯の形態を設計したため、歯ぐきに隙間が出来る事なく修復できました。
CASE02
上顎臼歯部1歯欠損をインプラント1本で修復しました。
骨の厚みが足りない部分は【GBR】という骨の移植を行っています。
ジルコニア製の歯は歯ぐきとの相性が良く、良好な状態が保たれています。
全顎的インプラント治療
全顎的インプラント治療は難度が高い治療です。
正しい位置に、バランス良く、正しい角度でインプラントを埋入することが重要です。骨や歯肉がやせてしまっている場合は再生治療を併用する必要があります。極度に歯肉がやせている場合は人工歯肉を使って見た目を回復することもあります。また、長期的にメインテナンスを行う為にスクリュー固定式上部構造にすることが理想的です。
CASE01
上下顎とも状態が悪い歯を抜いて奥歯をインプラントで修復しました。
前歯は患者様の希望のもとそのままにしています。上顎は骨の高さが足りなかったため、【サイナスリフト】という特殊な手術を行い骨の高さを獲得しています。
術後経過もメインテナンスに通っていただいており、良好な状態を保っています。
インプラント治療におけるリスクや副作用の詳細説明
一般的にインプラント治療には以下のようなリスクがあります。その有無や程度は、症状や個人差によって異なります。
外科手術
インプラント埋入は侵襲の差こそあれ、いずれも外科手術が必要となります。口腔や顎骨に関わる外科手術によって以下①~③が生じるリスクがあります。①神経の圧迫や損傷による麻痺。②血管損傷による多量出血。③術後の腫れと内出血によるあざ。腫れやあざは、多くの場合時間の経過とともにひいていきます。もし痛みがある場合は、鎮痛剤などの処方を行います。なるべく低侵襲な治療法を選択することで、負担の少ない治療を行います。神経損傷などのリスクを回避するために、当院ではCT撮影による精密診断で神経や血管の位置をより正確に把握し、治療計画を立てています。
顎骨・歯周組織の影響
患者さまの顎骨や歯周組織の状態によっては、インプラント埋入ができない場合があります。また埋入した場合でも、治療後の成功率や予後に差が生じます。もし顎骨や歯周組織が吸収、退縮してしまっている場合は、骨造成や骨移植などの手術を併用します。しかしながら、骨の質が硬すぎる、あるは軟らかすぎる場合は、埋入後のインプラントが抜け落ちてしまうというリスクがあます。骨の質は個人差があり、精密検査ですべてを把握することができない場合もございます。当院では安心して治療を受けていただくために、リスクや副作用の詳細説明と、具体的な治療計画をご説明しております。
メンテナンス
インプラント自体は虫歯になることはありませんが、支える歯肉は歯磨きなどのケアを怠ると歯周病のように炎症を起こし、やがて顎骨まで溶けてしまう場合がございます。このような症状をインプラント周囲炎といい、重度に悪化すると、インプラントが抜け落ちてしまいます。インプラント周囲炎を防ぐため、治療中や治療後に毎日ご自宅で正しい口腔ケアを続け、治療完了後も定期的に通院してメインテナンスやクリーニングを受け、良好な状態を維持していただく必要があります。噛み合わせも日々変化し、治療当時の状態が続くわけではないので、当院では治療後も定期的に噛み合わせのチェックを実施しています。
※掲載されている症例はすべて、当院理事長【大多和昌人】が執刀を行い治療を完了し、サイト掲載の許可をいただいた患者さまのものです。症例写真はトリミング(切り抜き)などを除き、画像の加工等は行っていません。治療はすべて各患者さま固有の症例に対応したものであり、ほかの方への治療結果を保証するものではありません。